9月のロータリーのテーマは「基本的教育と識字率向上」です。これはロータリーの重点分野の一つとなっています。6つの重点分野はそれぞれ重要な項目であり、それぞれが複雑に関係しあっていると思います。その中で、「平和と紛争予防・紛争解決」について考えてみたいと思います。もちろん紛争の原因は一つではありませんが、少なくとも5つの項目は複雑に絡み合いながら紛争の原因として存在するのだと思います。ロータリーの活動は、大いに貢献していると思います。
さて、今月のテーマですが、ロータリーのホームページには「世界には子供たちが基本的な教育を受けられず、成人が充分に読み書きができない国や地域があります。そうした地域で基本的教育を提供し、識字率を上げればそのほかの諸問題の解決(貧困の削減、健康状態の改善、地域社会と経済の発展、平和構築など)の糸口をつかむことができます。」としています。データ的には、「世界で5,800万人の子どもが学校に通っていない1」「4年間の初等教育を受けた後も読み書きのできない子どもが2億5,000満人いる2」「7億8,100万人の成人が読み書きできていない1」「低所得国で全生徒が読み書きを習得した場合1億7,100万人が貧困から抜け出すことができる。これは世界の貧困の12%に相当する3」などが、ごく一部ですが挙げられています。教育を受けられない原因の多くは重点分野の中にあります。しかし、教育が重点分野のそれぞれの状況を改善する力を持っていると思います。具体的なロータリーの活動例としては、学校の建築、教員の派遣・養成、識字率向上のための授業の提供などがあります。
続きまして、日本の教育の変化についてお話をさせて頂きます。来年度、小学校教育から随時適応される新学習指導要綱の改定、大学入試改革に関してです。皆様のお子様、お孫様に大きく影響があります。過去の経緯からみてみますと、約10年おきに学習指導要綱が改定されます。その時代の状況、子どもたちの将来の為の改定です。学習指導要綱が変わりますと、教科書の内容が変わります。つまり、日本の教育を受ける全ての子どもたちに関わる事になります。現在の小・中・高生は移行期間の教育、つまり、新旧の内容で学ぶ事になります。しばらくは移行期間になりますが、現在高等学校2年の生徒からは、大学入試が変わります。新学習指導要綱での学力の三要素は「@ 基礎的な知識・技能 A 思考力・判断力・表現力等の能力 B 主体性・多様性・協働性」としてます。
児童生徒の「何ができるようになるか」という観点を学力の三要素を踏まえて「資質・能力の三つの柱と」して「@ 生きて働く「知識・技能」の習得 A 思考力・判断力・表現力等 B 学びに向かう力・人間性等」としています。これらに基づいて現高等学校2年生の生徒からセンター試験が大学入学共通テストとなります。簡単に紹介いたしますと、記述式の導入や学力の三要素に応じた問題内容となります。
少しご紹介いたしますと、平成29年度に行われたプレテストをご紹介いたします。英語の問題を抜粋いたします。「11月の営業時間と混み具合のカレンダーがあります。それぞれの曜日には園の来場予想率が示しています。最も混むと予想される日は、顔のアイコンで示しています。顔のアイコンの日は入場が困難と予想されます。アドバンスチケットをお持ちでない来場者は入場口で長時間並ばなければいけないでしょう。
それぞれの日のアイコンを押すとそれぞれのアトラクションの予想待ち時間が分かります。」という文章を読んで設問に答えます。これまでの長文を読んで文法や熟語、文章の細かな内容の設問が一変しています。簡単の様に思えますが、現実の社会の行為について考えることができるのが必要になる様な問題構成になる可能性があります。これまでの様に、単純に英単語、熟語を丸覚えだけでは対応できない様な問題になるかもしれません。将来、皆様の会社などに、こうした教育を受けた人たちが入ってくる事になります。
引用元
My Rotary (www.rotary.org) 「基本的教育と識字率向上プロジェクト戦略」
1)The Millennium Development Goals Report 2014
2)Education For All GLOBAL MONITORING REPORT 2012
3)UNESCO Global Monitoring Report 2013/14
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