2019年02月18日

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第1823例会

 

 

場所:リーガロイヤルホテル広島

ゲスト卓和
「僕は13歳 職業、兵士。アフリカの元子ども兵が教えてくれたこと。」

 

 

 

 

卓話者:特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス
創設者・理事  鬼丸 昌也 氏

 

 子ども兵とは、武器を持ち戦っている18歳未満の子供達で、世界に25万人。私達はアフリカ3ヶ国で、元子供兵の職業訓練、識字教育、社会復帰のための支援を行っている。
 GDP5%強のウガンダの経済成長を支えるのは専ら南部であり、北部は戦闘が続いていた。2006年まで北部は外務省「退避勧告」対象地域。私達は2004年に子ども兵調査のためウガンダに向かった。同国北部は、ウガンダ政府軍と反政府「神の抵抗軍」の二つのグループに分かれ戦闘を続けていた。神の抵抗軍は、23年間に約6万6千人の子供を誘拐し兵士にしていた。
 2004年ウガンダ北部で出会った8人の子供兵。その中の一人、16歳の彼は12歳で誘拐され兵士となり、生まれ育った村を襲いに行かされる。脱走し再び村に帰る事が出来なくなるように。彼が周囲の大人の兵士に認められるには、人より多く盗み多くの人を傷つけること。だから子供兵は優秀な兵士になる。彼は村で母親を殺すよう命令され、代わりに母親の手を切断させられる。その後彼は母親と再開し、その時母は自分の話をよく聞いてくれた。しかし「以前と同じように自分を愛してくれることは無い、それが僕にはわかる」と彼は言っていた。
 なぜ子ども兵が増えるのか。子どもは素直だから。戦闘上、使い勝手のよい道具であり、武器も軽小化したから。もう一つの理由は、私達の暮らしと関係があった。

一例であげると、コンゴ民主共和国では、レアメタルや様々な資源をめぐる戦闘が今も続き、一説には10,000人を超える18歳未満の子供たちが、奥深いジャングルでの戦闘に従事させられている。そのような状況を、日ごろ使っている携帯電話やパソコンをはじめとする電子製品に含まれるレア・メタル(希少鉱物)が、原因となってつくりだしていると言える。ただ、日常生活の中に、アフリカや世界各地の紛争の原因が存在するという事実は、
僕らにささやかな「希望」をもたらしてくれる。なぜなら、単純な話で、原因を変えれば、そこから生じる結果は変化するからだ。

このように世界が抱える課題と、私たちの生活や企業行動は密接に結びついている。そのうえ、国際社会は、2030年までに世界の諸課題を解決するために17のゴールを合意した。これをSDGs(持続可能な開発目標)と呼んでいる。世界規模で機関投資家などは、このSDGsに対して企業が取り組んでいるかを注目するようになっている。もはや世界や地域の問題に取り組むのは、企業にとって社会貢献ではなく、投資家や消費者に選ばれるためともいえる。

 ウガンダでは15人の元子供兵を廻り職業訓練やカウンセリングを行った。多くの方の支援のおかげで、12年間で 208名の元子供兵が我々のプログラムを卒業した。一人約3年間かけ、その半分を私達が建てた施設で勉強させ、残りの期間は、資金を貸し付けビジネス、商売をさせる。結果、彼らの月収は当初200円が、国参公務員並みの7000円となった。お金を稼がせること。元子供兵には少女兵が多く、差別や偏見にさらされており、社会復帰が難しく、心の傷は癒えても、我が子を育てるお金は無い。社会は人に絶望を与えてはいけない。少しの希望があれば、立ち上がれる。そのとき大事だったのが、ビジネス。地域住民の信頼を得るための、商売。お金は数えることが出来る、それは自分が誰かに信頼され受け入れられた証、ビジネスほど人間性を回復出来る手段は無いことを学んだ。

 そうした経験を活かし、私たちは、岩手・大槌にて、女性の被災者の生活を立て直すお手伝いをしている。避難所にいる女性は、やることが無いと3.11の日のことを思い出す。しかし彼女達には洋裁や縫製の経験者多く、布巾やコースターを作って頂き、180人で3000
万円の収入を得た。亡くしたものは戻らないが、稼ぐ事が出来れば、孫に小遣いを渡すことが出来る。稼いだお金を大切な人の為に使うことが出来る。
 テラ・ルネッサンスは、当初被災地支援に関わるか悩んだ。そもそもそれは可能か。資金的な問題もある。限りある資金のなか、東日本被災地支援のために海外支援を削ることは出来ない。そんな時、ウガング人職員(彼女も7歳の時に家族全員を戦争で虐殺された)から電話がかかってきた。ウガンダでも東日本大震災の津波の映像がCNNで流れた。彼女は自分達を支援し続けてくれた日本の人達のために何かしたいと思い、プログラムを卒業した元子ども兵らと話し合い、半日で集まったお金が5万円。公務員平均月収7千円の国で。この子が言うには「これで毛布を買ってあげて」そして最後に「同じ国に住むあなたたちは、何をするの?」もはや私に選択肢は無くなり、どのようにそれを行うか、に移った。出来る限りの事をしよう、被災地支援をはじめ、私達は今後も地域に根ざし、国内外で人や地域に寄り添いながら細やかな活動をしてゆきたいと思います。有難うございました。

 

 

 

 

 

 



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