2018年12月03日

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第1816例会

 

 

場所:リーガロイヤルホテル広島

「ポリオ撲滅(根絶)への道、これまでとこれから」

 

 

 

 

ロータリー財団米山奨学委員会委員長 児玉哲郎君

 

 今月は、「12月疾病の予防と治療月間」であり、ポリオをテーマとして取り上げることになり、演題名として「ポリオ撲滅(根絶)への道、これまでとこれから」を取り上げた。これは本年8月28日に開催された国際ロータリー第2710地区2018-19年度地区指導者育成セミナーの際、基調講演として第3ゾーンEPNC第2690地区パストガバナーの松本祐二氏(益田西RC)の講演があった。この講演内容のダイジェスト版をクラブ例会の卓話として紹介する必要性を感じ、講演後当クラブ古澤会長とともにクラブの卓話で使用する許可を講演者の松本氏から得た。 以下、講演内容を解説する。

 

 ロータリー章典40.010には、ポリオプラスは国際ロータリーの特別プログラムであり、撲滅の認定が達成されるまでは、ほかのすべてのプログラムに対して優先される、と記載されている。

 

 まず、ポリオという病気の解説を行った。紀元前1350年ごろエジプトの壁画に片足の筋肉が萎縮し杖をついて歩行する人が記載されており、これが歴史上最初のポリオ患者と考えられている。ポリオは医学的には“急性灰白髄炎”が正式名称で、小児に罹患することが多いことからかっては小児まひとも呼ばれていた。病原体のポリオウイルスが脊髄の灰白質に入り込み神経細胞を傷害して筋肉を麻痺させてしまうため、萎縮して手足が細くなる。呼吸筋も麻痺させると呼吸不能となり死亡するため、1960年代までは“鉄の肺”にて管理していた。ワクチンが普及するまでは年間35万人余りが罹患し、日本では1950年代から60年代にかけて大流行した。治療法はなく、予防接種が唯一の対応策であった。なお、ポリオは感染した人の排泄物で汚染された飲料水や食品などを通して広まる腸内ウイルスである(ロータリーの友:2018年11月号18-27頁)。

 予防接種には、経口弱毒生ワクチンと注射不活化ワクチンとがある。前者は、接種に技術はいらず簡便かつ安価であるが、副作用があり1人/440万人投与の割合でポリオを発症する。後者では、副作用はない。

 

 わが国では1960年前後に大流行したが国内でのワクチン生産能力は低く、大流行の際対応できず1961年当時のソ連から緊急輸入された生ワクチンの使用で、その後の感染拡大を抑えることが出来た。1964年生ワクチンによる定期予防接種が開始され、1980年を最後に野生型ポリオの発生はなく2000年にはわが国では撲滅宣言が出された。その後、生ポリオワクチンによる定期接種は2012年に中止され、不活化ポリオワクチンの定期接種に変更され現在に至っている。

 国際ロータリーのポリオ撲滅活動の軌跡を見ると、最初は国際ロータリー創立75周年記念活動を構想中に丁度1979年が国際児童年であることから幼児疾患の一つであるポリオ対策を3H計画の一つとした。1979年ロータリーがフィリピンで600万人の子どもへのポリオ予防接種プロジェクトを開始した。1982年東京麹町RCが南インドで予防接種活動を開始し、1985年国際ロータリーが『ポリオプラス』を立ち上げた。1988年には、ポリオ撲滅に関する決議を世界保健総会が採択し、世界保健機構(WHO)、ユニセフ、米国疾病対策センター(CDC)、国際ロータリー(RI)が参加して、「世界ポリオ撲滅推進活動(GPEI)」が発足し当初2000年を撲滅目標とした。なお、GPEI資金の約11%がロータリーからであった。世界的な撲滅活動の進展により1996年には、1988年に比べポリオの感染者数は85%減少した。2000年には、西太平洋地域のポリオ撲滅宣言が出されたが、世界的な撲滅は達成できなかった。その後、2009年ビル&メリンダ・ゲイツ財団がGPEI活動に参加し、多額の寄付金を寄せた。2013年には2018年までにポリオ撲滅のための「包括的な6ヶ年計画」が策定され(世界ワクチンサミット)、2018年をポリオ撲滅の最終年にするという活動目標が掲げられた。

 現在のポリオの流行状況を見ると、常在国はアフガニスタン、パキスタン、ナイジェリアのみとなっており、2014年以降感染者数は減少傾向がみられる。なお、2018年は11月20日現在アフガニスタン19人、パキスタン8人の発生が見られている。ポリオの撲滅宣言は、3年間の野生株でのポリオ発症0が証明されWHOが根絶宣言をして、世界中でのポリオの予防接種が終了する。地球上からポリオウイルスが根絶されたことが宣言されるまではすべての国で予防接種をしなければならない。現在日本国内では、不活化ポリオワクチンを生まれた子供がすべて生後54ヶ月までに4回予防接種することを決めている。2017年には生まれた子供約94万6千人に対して経費が189億2千万円かかり、これを各自治体が負担している。ポリオが撲滅されれば、これらの費用はいらなくなる。

 これからもポリオ撲滅活動を継続してゆくためには、活動資金として会員諸氏からのロータリー財団への寄付が必要となる。財団への寄付として目的を指定した「ポリオプラス基金」があり年間30ドル/人が求められている。また、2017年のRIアトランタ国際大会で、ロータリーは年間5000万ドルを寄付、ビル&メリンダ・ゲイツ財団は倍額の1億ドルを寄付するプログラムを3年間継続すると誓約した。ロータリアンだけの寄付では予防活動の資金は到底足りない。ポリオの現状を“みんなに伝えよう!みんなに知ってもらおう!”ということが大切で、そのためには1)この活動をROTEXにも正しく理解してもらい、一緒にロータリーの活動を!2)ロータリアンや家族だけでなく、地域社会にもポリオの現状を伝えて積極的な協力を呼びかけよう!3)地域のオピニオンリーダーのロータリアンが政治家にも働きかけよう!4)クラブの奉仕活動でポリオのことを認識してもらいましょう!、が重要である。10月24日は「世界ポリオデー」であり、イベントを企画し、寄付をし、寄付をお願いしましょう。

 

 

 



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