2018年05月28日

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第1795例会

 

 

場所:リーガロイヤルホテル広島

会員リレー卓話

 

 

 


村上 恒二 会員

 

最後の10年を最高の10年にしよう 〜 ネンネンコロリからピンピンコロリへ 〜
                         呉共済病院 村上 恒二

 今年は明治維新から150年です。明治、大正、昭和と続いてきましたが、人口を国力としてみてみますと、明治が始まった時の人口は3,500万人でした。大正で5,000万人、昭和で6,000万人となって、今や1億2,700万人弱となっています。
 明治をゼロバランスロとしますと、明治から昭和で2倍、昭和から平成でさらに2倍と国力の一つの指標である人口は増えてきました。

 GDPも明治初期は、1人当たり年間750ドルでしたが、現在では2万ドルを超え、世界第3位です。では、将来的にはどうなるかというと、このままの成長率でみますと、当分成長率は2%以下となります。人口も減少に転じており、50年後には1億人を割り、100年後には大正時代と同じ5,000万人に戻ることが推計されています。
 50年、100年、150年というトレンドでみると、日本という国は一時的には大国となりましたが、また普通の国に戻るということです。
 そういった中で私たちが生きているこの平成という時代は、人口の観点からは、我が国の歴史の中で1番の興隆期であったともいえます。
 
 さて、日本人の平均寿命に目を転じてみますと、戦後55〜61歳であったものが、平成28年には男性が80.98歳,女性が87.14歳と過去最高を更新し、男女とも香港に次いで世界2位となっています。しかしながら、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)でみますと、男性が72.14年、女性が74.79年となります。諸外国での平均寿命と健康寿命との差すなわち寝たきり期間は、平均すると7年程度でありますが、わが国での平均寿命との差は、男性が約9年、女性が約13年となっており、世界的にみても寝たきり度の主要国ワーストランキング1位といえる不名誉な現状です(人生ラスト10年問題)。

 今後日本の人口が増える集団は、唯一75歳以上の後期高齢者であることを考えると、いかに寝たきり高齢者(ネンネンコロリ NNK)を増やさないか、あるいは健康寿命を伸ばして、ピンピンコロリ(PPK)と冥途へ旅立つかは人生100年時代における大きな課題となってきました。

 一休禅師は、「人の世は、稼いで食って寝て起きて、さてそのあとは死ぬるばかりぞ」と句の中で読んでいますが、要介護となる原因は何としても避けたいものです。これらの原因の主要な要素は、脳卒中、認知症、高齢による衰弱、関節疾患、転倒・骨折ですが、身体能力障害、筋力低下を遅らせることができれば、健康寿命の延伸や介護予防、すなわち健康でいられる時間が長くなります。健康寿命の延伸の方策としては、「運動」、「栄養・食事」、「社会的参加」が3つの柱ですが、中でも筋肉の衰えを止めること、すなわち「幾分強いレジスタンス運動の介入(筋トレ)」よる運動の効果が期待されます。

 運動に絡めて言えば、注目すべき新しい医学界の知見として、「座りっぱなしで体を動かさない」ことが、「寿命を縮める」として注目を集めています。 仕事はデスクワークが中心という人も多く、現代人には特に珍しくない状態ですが、動かない生活はタバコと同じくらい体に悪く、がんや心血管障害など命にかかわる病気の原因になることがわかってきました( Sitting is the new smoking! “座りっぱなし”は喫煙と同じくらい危険!)。2012年にWHO(世界保健機関)は、1日10時間以上座っている人は、4時間以下の人に比べて病気になるリスクが40%も高くなると報告しています。
 現代ではデスクワークや日常生活での座位は避けがたいところですが、デスクワーク中にときどき片方ずつ膝を上げ下げして大腿四頭筋をほぐす、いわゆる“貧乏ゆすり”が推奨されています。 “座りっぱなし”の害を減らすためには、ふくらはぎや太ももの貧乏ゆすりは、『貧乏ゆすりは健康ゆすり』として、おおいに推奨されます。

 

 

 



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