2018年04月02日

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第1788例会

 

 

場所:リーガロイヤルホテル広島

ゲスト卓話
「がんについて考える〜がん患者さんに起きている現状、がん予防について〜」

 

 

 


広島赤十字・原爆病院 がん看護専門看護師 札埜 和美(ふだの かずみ)様

 

  日本人の2人に1人が、がんになる時代と言われるようになりました。この言葉を聞くと多くの方が「こわい」と感じると思います。しかし,がんの治療成績は年々向上しており、「がんと共に生きる人生」が特別なことではなくなっているようにも思います。
 がんは日本人にとって身近な病気にはなっています。しかし,まだまだ「まさか自分ががんになるなんて・・・」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
 いざがんになったとき,慌てないために私たちにできることは何か,また,がんにかからないために何ができるのか,心構えを含めてお話をさせていただきました。
まずは,がん予防について。
 国立がん研究センターがん予防・検診研究センターがまとめた「がんを防ぐための新12か条」が2011年に公開されました。
1. たばこを吸わない 
2.他人のたばこの煙を吸わない
3.お酒はほどほどに 
4.バランスのとれた食生活を
5.塩辛い食品は控えめに
6.野菜や果物は不足にならないように 
7.適度に運動
8.適切な体重維持 
9.ウィルスや細菌の感染予防と治療
10.定期的ながん検診を
11.正しいがん情報でがんを知ることから
 これらの内容は日々実践するのは難しいことはでありますが,私たちが少し意識をもって気を付ければできることだと思います。「継続は力なり」です。また,病気になって慌てる事がないように,病気になる前の心づもりとして,健康なうちから受けたい医療・受けたくない医療などについて考えるACP(アドバンス・ケア・プランニング)も家族や大事な人と常に話し合っておくことも大切です。
 一方,万が一がんになってしまった時です。
がんを生き抜くためにコミュニケーションのスキルを身につけることがとても大切だと思っています。これは自分らしく生きるために自分にとって大切なものは何かを意識しながら,医師とともに治療法を選択したり,家族などの周囲に理解してもらう手段の一つとして,必要なスキルだと思います。また,自身の生活のコントロール感をもつことや,セカンドオピニオン制度の利用,利用できる医療制度,病気を抱えながら安心して仕事を続けるための必要な支援が受けられることも自分らしく生きていくためには大切だと思います。
 国は,日本の高齢化に伴い,がん罹患者,死亡者の今後の増加が予測されることで,がん患者が仕事を持ちながら必要な治療が受けられるように,「がんと就労」を社会的問題と捉え,その施策を打ち出しています。
 最近は,手術後も比較的早く退院し,抗がん剤治療などは通院しながら治療する方が増えており,がんに罹患しても働く方も少なくないです。そのため,就労支援が国の施策の中でもクローズアップされ,がん治療と仕事の両立の重要性が高まってきています。
 がんに罹患した多くの方は,「仕事をこれまで通り続けたい」「以前よりペースや業務量を落として仕事を続けたい」と仕事を続けたいと思っておられます。また,がんになっても安心して仕事を続けるためにがん患者さんの声として,第一位が「勤務時間を短縮できる制度」,第二位:「長期の休職や休暇制度」,第三位:「がん・後遺症等についての周囲の理解」,第四位:「柔軟に配置転換できる制度」などの支援体制を望まれていることがわかっています。一方,「仕事をしたくない」と言われる方もいます。このように一人一人,仕事に対する考え方は異なりますので,その方にあった支援方法を共に考えていくしかないと思います。職場環境や周囲への理解はまだまだ十分ではないと思いますが,最近ではがん治療と仕事とが両立できるようなしくみ作りが動き始めていることも事実です。また,「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」「がんと仕事のQ&A」など就労支援に関する教材となるような情報も多くでていますので,参考にしていただければと思います。
 やはりがんになると,治療の為に身体の状態が変わり,生活が変わります。それまで自由にできたことができなくなる可能性も出てきます。自分にとって大切なものは何か普段から意識して生活しているといざという時に迷わなくて済むのではないでしょうか。また,国が掲げているように「がんになっても安心して暮らせる社会」が実現できることを一人一人が意識し,皆で作り上げていくことも大切であると思います。
 今回,がんにならないための工夫やがんに罹患した時についてお話しをさせていただきました。本日のお話が皆様のお役に立てれば幸いです。
 最後に,このような機会を与えたくださった先生方に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

 

 



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