2017年11月13日

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第1771例会

 

場所 : リーガロイヤルホテル広島
新会員卓話「自己紹介」
大井 太郎 君

 

 

 

 

 

 今まで赤字の会社ばかりに赴任してまいりましたが、チチヤスは赤字の会社であっても勝手が違いました。それは、130年続く老舗企業という点です。歴史が長い会社であればあるほど「変える」事に拒否反応を示すと想定していましたが、チチヤスは私の想定を超えて「変わる」事を拒否しました。役員に就任した当初、チチヤスは「今まで通りで良い」という風潮が蔓延してました。
 そんなチチヤスで仕事をするのですから、まずは私がCompany Firstを掲げ、行動するしかありません。私は沢山の方から「コストカッター」と言われましたが、実際にはコストカットだけでは黒字化することはできません。経験上、黒字化に必要なのは「販売力の強化」、「生産の効率化」、「経費削減」の組み合わせです。この3つのどれか1つでも欠けてしまうと黒字化は一時的なもので終わってしまいます。この3つはどれも当たり前のことを当たり前に行えばできる事ですが、赤字の会社はそこに気付く事ができません。今まで通りで良いと社員が思っているからです。それが皆一番楽なのです。その思考をどのように変えていくか。業務を細部まで徹底的に分析し、時には一緒にその業務を行って気付かせます。「その仕事のやりかたは間違っている」と。
 チチヤスでまず初めに手を付けたのは挨拶でした。チチヤスでは挨拶をする文化がありませんでした。プロパーに何故挨拶しないの?と問うと、過去の経営者から「疲れてないのになぜお疲れ様なんだ!」と言われたというウソかホントの話がでてきました。そこで皆に「日常の挨拶ができない会社は 私の経験上、赤字の会社で先が長くないよ」と説き、来客されたお客様に対しては必ず「いらっしゃいませ」、朝出社したら必ずフロアで「おはようございます」、帰る時は「お先に失礼します」、日中社員間の挨拶は「お疲れ様です」を慣行するよう徹底しました。当然、自分が率先して行ったのは言うまでもありません。それと同時に会社の良い部分、悪い部分を分析したうえで、「販売力の強化」、「生産の効率化」、「経費削減」の項目に個別の目標を設定し、実行しました。
私の経験ですが、赤字会社の立て直し業務に必要なことはテクニックも必要ですが、一番は経営者のハートだと断言します。そのハートを奮い立たせるうえで絶対に忘れないようにしている言葉がいくつかあります。この言葉達に何度も助けられ、また私のハートに何度も火を点けてもらいました。一つは現在伊藤園グループ会長の本庄八郎様からタリーズコーヒーに行く際に頂いた言葉で、「郷に入っては郷に従え。相手の良い部分を伸ばし、悪いところを直しなさい。伊藤園の論理を押し付けるな」。郷に入っては郷に従えはどの会社に赴任してもプロパー社員とコミュニケーションを取るうえで一番気を付けた言葉でした。また、ある方からは「自分の目は2つだが、部下の数×目の数でいつも見られている。上に立つ人間は常に自分を律しなさい」と言われ、この言葉も環境が変わった時に常に自分に言い聞かせ、後ろ指を指されないよう自分の言動、行動をよく注意するようになりました。
 最後にご紹介する言葉はどの会社に行っても自分の直属の部下や、仲の良い部下だけに言う言葉なのですが、「役職が無くなれば皆ただの人間。役職に就いている時は皆その役職に敬意を払うが、役職が無くなったら今までと同じように接してくれない」。これは私の上司だった方から教わった言葉ですが、最後は人間性ということを言いたいのだろうなと思い、私も役職が無くなった時に色々な方と引き続きお付き合いできるように人間性を磨くよう研鑚し、その人間性で仕事をしてきたいと考えるようになりました。
 30代中盤から企業再生の仕事を中心に様々な人と出会い、別れもありました。どの会社でも後ろ指を指されるような仕事はしたくない。そして全ては会社のために「Company First」を実践することで規律と躾を会社に植え付け、社員が辞めるとき、皆がこの会社で働いていて良かったと思えるような会社にしていきたい。そして50年、100年先まで続くチチヤスにしたいというのが私の人生の目標です。

 

 

 

 



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