2017年06月05日

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第1753例会

 

場所 : リーガロイヤルホテル広島
タイトル : 「売れない時代に本を出す―極小出版社の無謀な挑戦」
卓話者 :有限会社グリーンブリーズ 代表取締役 平木久恵 様

 

 

 

 

 

 

 グリーンブリーズはたった二人の、広島県で二番目に小さい出版社です。たぶん…。平木は社長兼編集長。というと大変聞こえはよいのですが、電話番からお茶くみ、コピー取り、営業、重たい本の配送まで何でもこなす「体力だけエライ」社長です。こんな会社が2013年、季刊誌『グランデひろしま』を発行する、大胆というか無謀というか、トンでもない取り組みを始めました。
 今はネット全盛の時代。流行や最新の情報だけなら書店に行かなくても即座に手に入ります。でも、それで満足していて良いのでしょうか。「行ってみたい」「食べてみたい」という気持ちになり、行動した結果が大事なのです。他人の感想で知った気になるのではなく、あなたの体験、感動こそがホンモノなのです。その行動を起こさせるきっかけとなる情報は量ではありません。量より質、「もの」より「こと」です。『グランデひろしま』は、「目には見えないたいせつな思いを深く共感できる」情報を発信して、一冊を連続した場面としてとらえ、ページをめくるわくわく感や紙の手ざわり、本と共にある時間をじっくり愉しんでいただきたいと思っています。
 コンセプトは「いいもの、いいこころを広島から」。いいものは都会にも地方にもたくさんあります。でも、本当のいいものは、いいこころがなくてはできません。私たちは、その「いいものの向こうにあるいいこころ」を伝えたいのです。
 さらに、多くの情報は東京発信です。しかも、大手出版社の本に中国地方が取り上げられるのは一年で一回あればいい方ではないでしょうか。私には伝えたいことがいくらでもある。都会の価値観で測られ、発信される情報だけがすばらしいのではなく、地域ならではの魅力を地方に暮らす私たちが誇りをもって伝えたい。そういう思いをもって創刊しました。
 でも、今は本の売れない時代です。何のためにこんな無謀なことをするのか。もう覚悟を決めるしかありません。「お金や地位や名誉のためではありません。道楽です」…なんてカッコつけて、平木は「ヒラキ直り」ました。「ヒラキ直り」は、マイナスをプラスに変えるすばらしい発想の転換でした。

●お金がない→お金はなくても、仲間がいる!安心いたせ!シワとシミと体重のたくわえはたっぷりある!
●出版は二人では無理。人手がない→人はアテにしよう。うっかり者の平木にはしっかり者の高林という強い味方が付いている!年を取るほど知識と経験値は増えますが、思考はワンパターンになります。一人の力なんてたかがしれています。だからこそ、人はアテにするのです。一人でがんばらないで、助けを求めると、仲間ができます。ライターさんやカメラマンさんの力はもちろんのこと、校正や定期購読の配送を手弁当で手伝ってくださる人、知り合いに薦めてくださる人、情報を教えてくださる人などたくさんの人々に支えられて、おかげさまで『グランデひろしま』はじわじわ、ぼちぼち成り立っているのです。この春から蔦屋書店さんも売れないはずの本を懸命にアピールしてくださっています。これぞ、「みんなの力」です。仲間のおかげです。
●都会にあるものがない→都会にないものはいっぱいある!これぞ、地方の誇りよっ!
…というワケで、「ヒラキ直る」と、違う角度でものが見えてきました。編集の切り口がどんどん変わります。「ラーメン特集」なんて「老舗旅館特集」なんて、やりません。何でもある都会に遅れるな!と焦る地方。ひっくり返せば、地方があるから、都会が光るのです!ビリがあるから一番が光る!私がいるからあなたが輝くのです。
観光産業としてではなく、地域の人々が大切に守り伝えている祭りを取り上げよう。街中映画館とシネコンが共存し、映画を作る人も支える人もいる広島、アマチュア落語家の天国、広島を自慢しよう!田舎まちの銘菓を取り上げよう!「知ってる、わかってる」はずの宮島を見直そう。普段着の田舎のがんばりを応援しよう!…と次々と企画ができあがります。
「自分の住んでいる町がこんなにいい所だったとは…」「知らないことがいっぱいあって、ワクワクする」「雑誌は捨てるけど、グランデだけは取っておく」…そんな皆さまのお声を励みに毎号全力を傾けています。
広島中央ロータリーの皆さま、都会へ出張なさる折は、広島土産の一つに加えて頂いて、広島の、中国地方の「いいもの、いいこころ」をどんどんご紹介くださいね。

 

 

 



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