2019年02月14日 |
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国際ロータリー第2710地区グローバル補助金奨学生 小田佳世 報告 |
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報告書提出日 | 2019年02月02日(土) 14:00〜18:30 | |
基本情報 | 派遣クラブ:広島中央ロータリークラブ カウンセラー:古澤宰治様 受け入れクラブ:Monterey Pacific Rotary Club カウンセラー:Ms. Lisa Luscombe 教育機関:Middlebury Institute of International Studies at Monterey (MIIS) 専攻:MA in Nonproliferation and Terrorism Studies |
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前回ご報告いたしました通り正式な卒業は 2019 年 6 月になりますが、1 月に無事、必要単位の取得を全て終えることができました。3 月から外務省での研修を開始し、4 月には勤務地であるジュネーヴの日本政府軍縮代表部に派遣されることになるため、このタイミングで最終のご報告をさせていただきたく存じます。
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@ 原子研究炉実習 | |||||
チェコ技術大学が保有する原子力研究炉「VR-1」で、指導員の指示の下、「制御棒」という、核分裂連鎖反応の度合いを調整し炉心内のエネルギー量をコントロールするものを、中性子の量を測りながら動かしました。制御棒の操作は制御室にあるいくつものボタンとキーボードを使って行いました。安全装置が付いているため、失敗しても爆発することはないと分かってはいたものの、核分裂連鎖反応を手元で操作するという経験にとても緊張しました。 |
研究員の指導の下、原子炉内の制御棒を
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また放射線検出の実習では、天然ウラン、鉱石、被照射石をα波、β波、γ線、中性子などを計測できる様々な器具を使って調べ、対象物に含まれる化学物質を割り出す実験、α波、中性子などがどれくらいの厚さのどのような物質で遮断できるのかを調べる実験などを行いました。 | |||||
原子炉内で中性子量を測る |
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A タマリン原子力発電所見学 | |||||
プラハから車で 2 時間半。CEZ グループが運営するタマリン原子力発電所は、チェコ共和国最大の電力供給施設です。その発電所を見学し、原子力発電所の仕組み、核物質保障措置の観点からみる警備や災害予防、チェコのエネルギー経済の実態などについて学びました。 | |||||
タマリン原子力発電所 |
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これまで大学院のクラスで原子力発電の仕組みについては何度も学んできたのですが、物理化学が不得意である私は、その仕組みを大枠では理解できていたものの、詳細となると分かったようで分かっていなかった部分も多くありました。見学時には実物を目の前にして講師の方に質問をすることができ、大学院で学んだ核に関する物理化学の知識を深めることができました。 | |||||
タマリン原子力発電所 |
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B 国際原子力機関・包括的核実験禁止条約準備委員会訪問 | |||||
コース最終日にはオーストリアのウィーンに移動し、国際原子力機関、包括的核実験禁止条約準備委員会を訪問。 様々な部署の方々からその仕事内容について伺いました。夜には同機関に勤める卒業生とのネットワーキングの場もあり、今後のキャリア形成のための情報交換をすることができました。 |
国際原子力機関に飾られた
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2. 受け入れロータリークラブとの関わり | |||||
留学中、モントレーパシフィックロータリークラブの皆さんには本当に家族のように親身になって接していただきました。本来の卒業時期を前にモントレーを離れることになるため、一足早く 2018 年 12 月の卒業式に参加したのですが、駆けつけた母と共に卒業式に参列して下さったばかりか、夜にはクラブの皆さんと私の大学院の教授、友人を招いたパーティーを開いてくださいました。クリスマス前ということで、クリスマスプレゼント交換も行い、とても楽しいパーティーになりました。 ロータリークラブの方々と公私を問わずお付き合いをさせていただいたおかげで、普通の大学院生がなかなか目にすることのない、地元民ならではモントレーの良いところをいくつも知ることができました。また、ロータリアンの方々は皆、奉仕活動を楽しみながら、タマリン原子力発電所のモーターの前で。国際原子力機関に飾られた各国国旗の前で。家庭・ビジネス・地域でリーダーシップを発揮されており、私が今後社会人として歳を重ねていく中で目指すべき姿をたくさん示してくださいました。 |
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卒業パーティーの様子。
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3. 今後の課題、目標 | |||||
まずは 4 月から始まる日本政府軍縮代表部での業務にいち早く慣れ、核問題を始めとする軍縮のフィールドにおいて各国の立ち位置、歴史、関係性を把握することに努めたいと思います。前任者ならびに他国の外交官の方々から、とても業務量の多い職であると聞いており、今から戦々恐々としていますが、同時に、学生生活を終えての社会復帰がとても楽しみでもあります。 軍縮分野の外交官としての仕事は、大学院での学びを深める学びの場であると同時に、各国の代表ならびに国際機関の方々とのネットワーキングの機会に溢れた、私のキャリア形成基盤になると考えます。大学院での学び同様、目の前の課題から一つ一つ取り組み、国際的な平和構築のあゆみに少しでも貢献できればと思います。 |
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4. これから留学を始める奨学生へのアドバイス | |||||
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自分が留学に求めるものを明確にする。 修士取得を自らの知的好奇心の追求ではなく、キャリア構築のための基盤づくりとして捉えていた私は、個人で研究を進め論文を仕上げるクラスではなく、それぞれの事前学習をもとに授業中に議論を交わす様式のクラスを多く受講し、外部の研究機関や学生を交えたセミナーにも多く参加しました。そして、与えられた機会を十分に活用しネットワーキングに力を入れた結果、良い就職先にも巡り会うことができました。 留学期間は短く、出来ることは限られています。「自分は留学に何を求めるのか」を明確化し、その目的に合った自分なりの留学の形を見つけることが、充実した留学生活を送る鍵になると思います。 |
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A |
甘える 真面目であればあるほど、甘えることが苦手な人が多いように思いますが、今回の留卒業パーティーの様子。 学を経て、甘えることの大切さを学びました。広島中央ロータリークラブの皆様は、2 年制の大学院で学ぶことを選んだ私をグローバル補助金奨学生という枠組みを越えて支援してくださいました。また、モントレーパシフィックロータリークラブの皆様は私がモントレーで充実した生活を送れるよう、常に気にかけてくださいました。 留学期間中、様々な活動に参加するなかで、多くのロータリアンの方々が奉仕活動を楽しみながら行なっている様子を目の当たりにし、私もサポートが必要な時は、遠慮せずご好意に甘えることができるようになりました。 このグローバル補助金奨学生の制度は、ロータリアンの皆様が、私たち奨学生が「世界理解、親善、平和を達成する力」の一端となることを信じて、奉仕活動の一環として支援してくださっているものだと理解しています。例えば、あるロータリアンの方は、車で隣町の大型スーパーに行く時は必ず声をかけてくださっていました。そのおかげもあり、私はほぼ自炊で留学生活を送り、物価がとても高いカリフォルニアで経済的に困窮することなく、健康的な留学生活を送ることができました。留学期間中は、ロータリアンの方々からのご好意に甘えつつ、「世界理解、親善、平和を達成する力」になることに全力を注ぐことも、充実した留学生活の鍵の一つであると思います。 |
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